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チチカステナンゴを散歩する (グアテマラ)

国旗
チチカステナンゴ

マヤの伝統文化が生きる神話の里

チチカステナンゴ
チチカステナンゴのサント・トマス教会前に集まる花売りと買い物客

中米グアテマラの西部に位置する小さな町チチカステナンゴ。その中心にあるサント・トマス教会はマヤの聖典「ポポル・ブフ」が発見された場所として有名です。古代マヤの神話を記したこの書物はマヤ民族にとって神聖なものであり、その発見場所もマヤの人たちは聖地として大切にしています。サント・トマス教会の周辺が祭りのように華やかになるのが市が開かれる木曜日と日曜日です。その日は、教会前の階段に様々な色とデザインの民族衣装を着たマヤの女性たちが並んで腰をおろし、花を売ったり、おしゃべりを楽しんだりします。その熱気と色彩は、めまいがするほど強烈です。

 

チチカステナンゴ周辺地図

チチカステナンゴ地図 チチカステナンゴは首都グアテマラシティとメキシコ国境との中間あたりに位置する。グァテマラシティからは、サンタクルス・デル・キチェ行きのバスで4時間くらい。ケツアルテナンゴ行きのバスに乗り、ロス・エンクエントロスで乗り換える方法もある。ただし、ボンネットのローカルバスのため乗り心地は悪く、かなり混むことも覚悟した方がいい。

 アンティグアから行く場合は、市が開かれる日曜日などは旅行会社がシャトルバスを出しているのでそれを利用すると早いし便利だ。

 

チチカステナンゴの中心部

チチカステナンゴは、グアテマラ西部、標高2000m弱の山岳地帯に位置する小さな町です。スペイン風の古い街並みと古代から続くマヤの伝統文化が息づく神秘的な雰囲気が特徴となっていますが、普通の日はグアテマラのどこにでもあるような田舎町にすぎません。


街の中心にある市場に行くと、民族衣装を着た人たちが野菜や果物を売り買いしている現代のマヤの人々の日常を見ることができます。


もともとマヤのキチェ族が支配していたチチカステナンゴに、侵略者であるスペイン人がキリスト教布教の拠点として造ったのがサント・トマス教会です。スペイン人はマヤ文字で書かれた古文書をすべて焼き捨ててしまいますが、そんな中で古代マヤの神話をスペイン語に移し替えて保存していた人がいたのです。

1700年代の初め、教会の修道士によってこの書物が発見されました。これが、マヤの神話「ポポル・ブフ(Popol Vuh)」です。これにより、書物の発見場所であるサント・トマス教会は有名になりました。外観はただの小さな教会ですが、内部はカトリックと土着の信仰が混ざった異様な雰囲気になっています。

この日は土曜日で、翌日の日曜市のために、教会前広場は物売りの屋台の準備が進んでいました。


土曜日の夜のサント・トマス教会前です。翌日の準備を進める人たちが歩き回っていました。


色が溢れる日曜市

日曜日になると、街の中心部にあるサント・トマス教会の周辺の道路には隙間なく出店が並び、ホテルの部屋から出ただけで日曜市の熱気ある喧騒を感じます。特に昼近くになると人が増え始め、両側に出店が並ぶ狭い道路は行き交う人たちで大混雑になります。


出店が並ぶ道を、人混みを縫うようにして教会に向かいました。

出店の多くは、マヤ伝統の織物や民芸品などを売っています。とにかく量が多いですから、店を何軒も見て行くと、バラエティに富んだ色やデザインの織物や帯などに魅了され、楽しいし、欲しくなります。ただ、質のいいものを探すのは難しく、いいものは価格も高いですから、見てすぐ買うのではなく、何件も比較してじっくり選んだほうがいいと思います。


民族衣装のスカートです。以前と比べて派手さが増してきている感じです。


子供たちも家計を助けるため物売りに必死です。

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サント・トマス教会前

サント・トマス教会に着くと、玄関前の階段には花売りの女性たちが集まっています。


この教会は、元々マヤの神殿があった場所に作られ、現在ある階段は神殿の名残りだそうです。マヤの人々はキリスト教に改宗しながらも、ここを古代から続く聖地であり、マヤの神様もいると考えているのでしょう。


階段の下では、マヤの祈祷師らしき男性が火を焚いて何かぶつくさ言っています。一神教のキリスト教会の前で多神教のマヤの神に祈るというのは、不思議で面白いです。それにしても、GAPのパ−カーがミスマッチですね。


祈祷師
祈祷師の伝統的な衣装はこんな感じで威厳があります。


グアテマラではキリスト教化の人手が不足したため、コフラディアという信徒組織を利用したのですが、これがキリスト教とマヤの神が混淆する土壌を生み出したようです。現在でも、コフラディアは伝統的な衣装でサント・トマス教会前に集まり、祈りをささげるなどの儀式を行っています。


、町外れの丘の上に行くと、パスク・アル・アバフという黒い石の神様が置いてあり、願いごとをする人たちと祈祷師が、供え物をしたり、ろうそくを燃やしたりする儀式をしています。しかし、現在ではこの丘に行く観光客を狙った強盗が時々出るらしく、一人で歩くのは危険です。私も途中までは行ったのですが、汚い格好をした恐そうな男が私を見ていたので、早々に引き揚げました。以前見たときは、この絵のような感じで儀式をやっていました。後ろに描かれた民衆弾圧の様子は、グアテマラの苦い歴史になっています。


貧しさの中にも逞しく、マヤの誇りをもって生きる人たちの姿は美しいです。


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