クエラップは、ペルー北部の山岳地帯に築かれた古代文明の城塞都市です。インカ帝国が隆盛を極める前、現在のアマゾナス県のチャチャポヤス地方にはチャチャポヤスと呼ばれる文化が栄えていました。彼らが外敵の侵入に備えて、標高3000mの山の頂に建設したのがこの都市なのです。
クエラップは雲の上の都市ということで、インカ帝国のマチュピチュと比較され、北のマチュピチュとも呼ばれています。近年、様々なメディアがクエラップに注目していて、2017年にはナショナルジオグラフィック・トラベラーが「海外のベストアトラクション」に、ウォールストリート・ジャーナル紙は「2018年に訪れるべきクールなデスティネーション」に選出しています。ペルー政府も、クエラップを含むチャチャポヤスを北部観光開発の目玉にしたいという意向があり、2016年にはクエラップと近くの村を結ぶロープウェイを開通させました。
ペルー北部の山岳地方にあるチャチャポヤスへは北部の都市チクラヨから行くのが一般的で、バスで約10時間かかる。チャチャポヤスからは クエラップへのツアーが毎日出ている。チャチャポヤスの中央広場にツアー会社が何社かあるので、そこで尋ねればいい。
チャチャポヤスからクエラップへの道はかなり険しく時間がかかる。近くの村ディンゴからは車で90分、徒歩で約3時間かかっていたが、ロープウェイができてから20分で行けるようになった。
クエラップはマチュピチュに匹敵する素晴らしい遺跡だと聞いていましたから、かなり期待してツアーに参加しました。ツアーのワンボックスカーは6名の客を乗せて山奥にどんどん進んでいきます。太古の地層がむき出しになった巨大な岩山が並ぶ地形で、山腹にジグザグ道路がどこまでも続いています。車の助手席に座った私にはその景色がよく見えました。日本の山岳にはない、壮大な光景には驚かされます。
クエラップを北のマチュピチュと呼ぶのは、単に両方とも山の上にあるというだけでしょうね。同行したドイツ人女性は「マチュピチュよりこっちのほうがいい。こんなに景色がよくて気持ちがいいところあまりない。マチュピチュは観光客が多すぎる」と話していました。私は、全く異なった遺跡ですから比べるのは無意味だと思いますが、強いて言えば、遺跡はマチュピチュ、周囲の景観はクエラップという感じがします。
この時期(2月)、この地方は雨がよく降るのですが、幸いなことにこの日は天気が良く、私たちは遺跡の前の広い芝生に寝ころんで暖かい太陽の光を楽しみました。大自然の中でのんびりする気持ちよさは格別で、これは人の多いマチュピチュでは味わえないでしょうね。